心なごむ、大和の風

あなたは いま歴史をさまよう旅人

桜井市からのお便り

紅葉の多武峰
〜ひっそりとした穴場パワースポット
不動の滝と破れ不動〜

 大和には紅葉の素敵なところがたくさんあります。よく知られている一つが多武峰・談山神社で、桜井駅からバス・タクシーで20分ほど。今回はその途中にある、穴場パワースポットである、不動の滝(不動延命の滝)(写真1)と破(わ)れ不動(写真2)をご紹介します。
 不動の滝(不動延命の滝)(写真1)談山神社への道はずいぶん整備されてきましたが、途中にはまだ車1台分の幅となるところもあり、街から近いながら、ちょっとした深山の趣があります。

 ずいぶんと山を登ってきて道が拡がるあたりで、左側に旧道と集落があるところがあり、不動の滝の看板もでています。
 談山神社への気持ちがはやるところですが、ちょっと一息。通常、観光で訪れる方は、まあおられません。ですので、その場所の雰囲気を堪能できます。

破れ不動(写真2)
巨石に不動さまが彫られていますが、このような仏様を磨崖仏といいます。
 すぐ近くの民家の隣にも、小さな磨崖仏があります。(写真3)
磨崖仏(写真3)
大きな磨崖仏では、室生口大野駅近くの大野寺から目の前の宇陀川を挟んだ対岸に彫られた大きな弥勒磨崖仏があります。室生寺方面に行かれる際に、ご覧になるとよいと思います。
 こうした磨崖仏は、桜井から東の山中にみられるのです。それはなぜでしょう?
 それは山の資源、とくに水銀と関係していたのではないか、と想像しています。
 破れ不動の彫られている巨石には、スパッと刀で切ったような切断面があります。
 (不動の滝と破れ不動についての一般的な解説として、埋蔵文化財センターの次のサイトもあります。
http://www.sakurai-maibun.nara.jp/yorimichi/yorimiti003.html
 今人気の『鬼滅の刃』にでてくる修行の岩にもちょっと似ているかもしれません。
  
 写真1―新緑6月の頃の不動の滝。涼しげで爽やかです。写真家の関健作さん撮影。
 写真2―破れ不動。同じく6月。関健作さん撮影。
 写真3―小さな磨崖仏。お供えのお花が絶えず、集落で大切にされています。関健作さん撮影。